やる気が出ないってどんな状態?やる気を味方につけよう!
「やる気が出ない」とは
勉強しなきゃ。仕事しなきゃ。掃除しなきゃ。洗濯しなきゃ。
生活の中にはやらなくてはならないことが山積みですね。
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でも、それらをやるための「やる気」が出ない。
やらなくてはならないことはわかっているけれど、体が動かない。
誰しもそんな経験があるはずです。
おそらく多くの人に当てはまるのが、学生時代に勉強のやる気が出なかった、という思い出でしょう。
勉強すれば成績が上がる。成績が上がれば進路の選択肢が充実し、良い未来が開ける。
そんな簡単な論理は誰でも知っているのです。
それにも関わらず、教科書を開く気になれない。
追い打ちをかけるように、親からの「勉強しなさい」というプレッシャーがかかります。
学生時代ですから反抗期真っ盛りの人もいるでしょう。
親のプレッシャーに反発すれば、親は先ほどの誰でも知っている論理を展開してきます。
「そんなことわかっているよ!」という喧嘩に陥り、堂々巡り。
結局やる気は出ず、親との雰囲気も最悪。
どのご家庭にも、何度でもあるトラブルです。
実は、この勉強を巡る親子のやりとりこそ、やる気を失うループの象徴なのです。
大人になった今も、やる気が出ないことに悩んでいる人は、子どもの頃と同じようなことを体験しているのかもしれません。
やる気がなくなる負のループ
まず、最初に人間はやる気をなくします。
これは仕方のないことです。
勉強や仕事に対してやる気をなくすのは、悪いことではありません。
むしろ、自然なことです。
人間は基本的に、自分が納得するような報酬をもらえなければやる気を持たないからです。
仕事はお給料という報酬がありますが、「これだけもらえれば十分だ」と納得して働いている人は少ないでしょう。
勉強の報酬はもっとわかりにくいものです。
中学生なら入学してから3年も経たないと「合格」という報酬が見えません。
そもそも合格できるかどうか(報酬がもらえるかどうか)も怪しいのです。
「報酬があるかどうかはわからないけれど、とりあえず100キロ走ってくれる?」と言われても、やる気にならないのと同じです。
次に、やる気をなくした自分を責める人が出てきます。
それは親だったり上司だったりします。
大体の場合、自分より経験のある人が自分を責めに来ます。
彼らは自分の経験を根拠に「やる気を出さないとどうなるか」を説きます。
しかし、「やる気」のもととなる報酬はくれません。
そして、そうした自分を責める人達に対するネガティブな気持ちが発生します。
自分を責めてくることへの怒りだったり、やる気の出ない自分に対して自己嫌悪を感じたりします。
感情が高ぶっているときは、感情の処理で脳の容量も心の容量もいっぱいなので、当然やる気なんて出ません。
そうしているうちに、また自分を責める人が出てきます。
そして感情の処理をするのにエネルギーを使ってやる気を出せない、というループに陥ります。
「自分を責める人」が実際にその場にいなくても、やる気がでないことはあります。
人間の心は「内在化」という働きを持っています。
親や教師と言った自分に強い影響を及ぼす人の考えを、自分の心の中にとりこんで、その人がいないときでも、その人に見られているように感じます。
親にべったりだった幼児が、親から離れて小学校へ上がってもなんだかんだ楽しく過ごせるのは、この内在化のおかげです。
「お母さんはここにいなくても、いつも僕のことを考えてくれているんだ」というように、母親を内在化することで、幼児は母親のもとを離れても安心できるのです。
逆に言えば「やる気がないのがいけないんでしょう」といつも怒られていると、その親の怒りが内在化されて、親がそばにいなくても、いつも怒られているのと同じ気持ちになるのです。
大人になってもやる気を出せないループにはまるのは、このためです。
では、このループをどうやって断ち切ったらよいのでしょうか。
負のループを断ち切る その1「報酬」
前述の通り、人間は報酬があればやる気を出します。
そしてやはり前述の通り、その報酬が他者からもらえることは期待できません。
一番手っ取り早いのは、自分で報酬を作ってしまうことです。
いわゆる「自分へのご褒美」というものです。
むやみやたらにご褒美をあげるのは、ただ自分を甘やかすだけになってしまいますから、きちんとご褒美をあげる基準を決めましょう。
基準を決めるコツは①達成可能性がある②量的な目標を定めることです。
勉強するなら、「1日10ページの内容をまとめたら、ケーキ1個」という具合です。
1日に10ページなら実現可能性がありますし、10ページという量的な目標にすることでゴールが見えます。
これを「1日100ページ」にするのは、実現可能性がないので、目標として相応しくありません。
「試験に合格する」という目標は最終目標に置くのには良いですが、やる気を出すのには適していません。
量で表せない分、達成方法が不確定なので逆にやる気を削いでしまいます。
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報酬は自分の好きなものなら何でもいいのです。
筆者はお酒をこよなく愛しているので、大学院入試の勉強の時は「論述を3本書いたらビール1本」にしていました。
負のループを断ち切る!その2「細分化」
やる気がなくても出来ることはありますね。
やる気なんてさらさらないけれど、出勤すればそれなりの仕事をこなす、という人は少なくありません。
なぜそれが出来るかと言うと、「ちゃんと手順がわかっているから」です。
やる気はなくても食事やお風呂はなんとかしようと思えますね。
長年の経験で食事の仕方やお風呂の入り方を知っているからです。
やり方がわかればやる気が出る、と言う人も多いのではないでしょうか。
今はインターネットという便利なものがありますから、ベッドの中でゴロゴロしながらでもいいので、まずはやり方を調べます。
そして調べたことを書き出します。
この時、きちんと番号を付けて整理しながら書きましょう。
やる気の出ない1日で、ここまでできれば上出来です。報酬を自分に挙げてもいいくらいです。
次の日になったら、そのメモ通りにやってみましょう。
人間は、自分の意志と行動が一致していないと混乱します。
やる気が出ない、と言う人は「頑張りたいのに」という気持ちを裏に持っています。
「頑張りたい」と頭が考えているのに、体は頑張らない。だからやきもきします。
調べる、メモする、行動する、と言うように体を動かしてあげれば頭と体が一致してきます。
負のループを断ち切る!その3「視覚化」
人間が得る情報のほとんどは目からのものです。
目から入った情報をもとにいろいろな判断をしています。
だから、何事も目に見える形にしておくのがよいと言われています。
小学生の頃、ラジオ体操のスタンプカードがありました。
朝の6時に起きてわざわざ体操しに行くなんて面倒の極みですが、それでも小学生の頃の自分は出かけていきました。
1日1個、スタンプが溜まるのが楽しかったからです。
「好きなスタンプを選んでいいよ」と言われるのも、「スタンプが溜まったから景品を選んでね」と言われるのも楽しかったのです。
そんなの子供だましだという人もいるかもしれませんが、案外高校生や大人にも効果があります。
筆者は予備校や塾で教員をしていた経験がありますが、「夏休みこそ勉強しよう!1時間勉強したら1マス塗るカード」というなんとも単純なカードを作って生徒にあげたことがあります。
「使っても使わなくてもいいよ」と言いましたが、小学生から高校生までいそいそとカードに色を塗っていて、意外なものだと驚きました。
目標と達成率を視覚化するのは、思っているより効果のあるものなのかもしれません。
負のループを断ち切ろう!その4「待つ」
人間がやる気を出すことを「動機付け」と言います。
ケーキなどの外的な報酬を目当てにやる気を出すことを「外発的動機付け」と言います。
仕事や勉強そのものが楽しい、ケーキがなくても頑張れる、いわゆる「やりがいを感じる」という状態を「内発的動機付け」と言います。
やる気がないことを責めてくる人たちは大抵の場合「内発的動機付けをしろ」という意味で責めてきます。
ここには耳を貸さなくて大丈夫です。人間は、「外発的動機付け」を経ないと、「内発的動機付け」にはたどり着けません。
もっと言えば、「外発的動機付け」でしばらく頑張ってみれば、いつの間にか「内発的動機付け」になる、という心の働きも証明されています。
報酬を用意した。手順を紙に書いたし、達成度を視覚化する工夫もした。少しずつだが実行している。
それなら、あとは待つだけです。ゆっくりとした変化ではありますが、心が勝手にやりがいを見つけてくれるでしょう。
こんな時は気を付けて
「やる気が出ない」と一口に言っても、その背景にあるのは、怠けとは限りません。
意欲の低下は心の病気の症状です。
仕事も勉強も手につかない状態が2週間以上続く。食事やお風呂など生活に必要なことのやる気まで失われた。髪や服に気を遣うのもおっくうだ。
こうなってきたら、専門家の助けが必要な段階です。
やる気の出ない自分を責めて自分で何とかしようとする前に、健康な心を取り戻す必要があります。
「やる気を出せ」と口では簡単に言えますが、本人の抱える事情は本当にそれぞれです。
ちょっとした工夫で何とかなる状況なのか、それともきちんとした対応が必要なのかをよく見極めましょう。